『人間関係の悩みさようなら』
2020年04月03日
「有機的な生き方」は、毎月のDMでお送りしております。
WEB版は「有機的な生き方」をさらに深く掘り下げた拡大版。
リーフを片手に、ぜひご一読ください。
16歳から25歳までの女性の人間関係の悩み
『人間関係の悩みさようなら』-素晴らしい対人関係を築くために-
(デビッド・D・バーンズ 星和書店 2008)
2020年3月の『有機的な生き方』は16歳から25歳までの女性の心身の課題を取り上げている書籍を紹介します。ニュースレターとして印刷した紙媒体では『いやな気分よさようなら』(デビット・バーンズ 星和書店1980)を取り上げました。
この年代の女性にとって、人間関係が最も大きな関心であり、悩みもまたそこに集中していると考えたからです。有機的WEB版でもまた、同じデビッド・バーンズのその名も『人間関係の悩み、さようなら』(星和書店 2008)を取り上げます。この二冊は『いやな気分よさようなら』(Feeling Good)『人間関係の悩み、さようなら』(Feeling Good Together)という英語名が示している通り、正編・続編という関係です。
前者がどちらかというと(人間関係の)悩みを出発点とした“抑うつ”をどう自力で解決するか、に重きが置かれていたのに対し、続編の本書は人間関係、特に夫婦や友人との関係がこじれた時に、それをどのように改善していくかに比重があります。
著者のデビッド・バーンズ氏は医師でかつ認知行動療法を行うセラピストなので、この二冊はどちらも自分でトレーニングする“ワークブック”的側面をもっています。
もちろんそのように活用されれば効果が期待できることは間違いないのですが、まずは読み物として気楽に読んでみるというのもありです。特に続編の『人間関係の悩み、さようなら』(Feeling Good Together)の場合、独立した個人の対等な関係を前提としたセラピーとなっていますが、日本の若い方々が(あるいはそのような子どもさんを持つ方が)読む場合、前提となる「独立した個人の対等な関係」それ自体がイメージできない可能性もあるからです。
時には「逃げる」「遠ざかる」ことも必要
全体で450ページを超える厚い本を、最初からワークしながら読み進めるというのはつらいな、という場合には、まず第12章「効果的なコミュニケーションのための5つの秘訣」~第18章「5つの秘訣を統合する:よくある対人関係問題の解決策」まで(163ページ~311ページ)149ページだけを読んでお終いにしても良いと思います。
ここには相手の言葉と気持ちを「聞く」技法3つ、自分の気持ちを表現して相手に届けるための「言い方」技法2つが具体的な事例エピソードによって紹介されています。この5つの技法がこの本のエッセンスです。
そして世の中で流通している夥しい数の「コーチング」とか「カウンセリング」とかは、これらの「聞く」技法「言い方」技法の形を変えたものがほとんどです。そしてここで紹介される技法が通用する関係が「独立した個人の対等な関係」なのです。
日本社会における人間関係の(いじめのような)歪みは、このような技法自体を拒否するところにあります。
そのような人間関係からは原則「逃げる」「遠ざかる」ことが必要です。だって言葉が通じないのですから。この問題については、また別の考え方を紹介しながらもう一度考えてみたいと思います。