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好中球は免疫のメインプレーヤーである白血球のひとつ

病原菌を食べて、殺菌して、分解する好中球

病原菌を食べる好中球

好中球は、病原菌などが身体に入り込んできたときに真っ先に血管から漏れ出して、現場にかけつける「火消し役」です。

 

細胞の核が分かれて複数のものがつながっているように見えるので、多核球とも呼ばれます。

 

実際はひとつの核なのですが、分葉して複数あるように見えます。

 

細胞質にはたくさんの顆粒が存在し(このような顆粒を持つ白血球は顆粒球とも呼ばれます)、この中には細菌や宿主の組織を傷つける役目を持つタンパク質が詰まっています。

 

好中球の一番大事な機能は、細菌を食べて、細胞内に取り込み、殺菌し、分解することです。

 

さらに、刺激とともに炎症性サイトカインや特殊な脂質を放出して、まわりの細胞に警報を発令して、血液中の他の白血球を呼び込みます。

 

火事場で火消しだけにとどまらず、応援部隊の呼び込みもしてくれる優れた細胞なのです。

 

白血球のうち約25%はリンパ球が占め、残り約75%の骨髄細胞の大半は顆粒球の仲間である好中球が占めています。

優秀だが短命な好中球

ただし、好中球は短命で、割とすぐに死んでしまいます。

 

たとえば、けがをした後で傷口が感染したときにできる膿は、局所に集まった好中球が病原体と戦った後の残骸です。

 

好中球は炎症巣に溜まりすぎると、死んで顆粒中のタンパク質を放出して組織を傷つけてしまいます。

 

このため、一時的にかえって炎症がひどくなります。

 

このようなときは、傷を開いて膿を外に出してやらないと、なかなか傷が治りません。

 

好中球の働きが強すぎて、炎症がひどくなると、組織は痛んでしまうのです。

好中球の名前の由来

話は少し脱線しますが、白血球の名前の由来について説明しておきましょう。

 

白血球を区別する昔からある方法は、白血球を含む液をガラス板の上に薄く広げた状態にして乾燥させ、それをメタノールなどの有機溶媒で固定してから色素で染めて、核や細胞内顆粒の形や染まり方を調べます。

 

このとき、細胞内顆粒が酸性色素や塩基性色素で染まりにくい細胞を好中球といいます。

 

一方、細胞内顆粒が酸性色素で染まりやすいもの、塩基性色素で染まりやすいものを、それぞれ好酸球、好塩基球と呼びます。