年をとると免疫力は低下する
2020年03月26日
加齢による免疫力低下は自然なこと
中年期をすぎると、ガンやアレルギー、自己免疫疾患などを発症する人が多くなります。
また、若いときにはすぐに治った感染症がなかなか治らない、重症化しやすい、ワクチンが効きにくくなることから、免疫力の低下を実感する人も多いでしょう。
免疫力は、加齢とともに老化していきます。
通常、生体制御力のピークは20代のころといわれ、普通に生活していても、50代になると自然に衰えていきますので、加齢による免疫力の低下は自然なことなのです。
酸化ストレスが免疫力を低下させる
その原因は、年齢とともに酸化ストレスに抵抗する力が衰え、T細胞を育てる胸腺や、リンパ球がたくさん集まる脾臓が萎縮してしまうことにあると考えられています。
とくに免疫力の低下の影響が大きいのは、胸腺の萎縮によるT細胞の減少や機能低下です。
異物を認識する能力が低下し、異物の見逃しミスや攻撃対象の判断ミスなどが起こってきます。
さらに、酸化ストレスは、樹状細胞やマクロファージ、ガンやウイルスを攻撃するNK細胞などの活性も失わせていきます。
免疫力の老化は遅らせることができる
加齢による免疫機能の低下は仕方がありませんが、酸化ストレスを大きくする生活習慣を続けていると、若い時期から免疫力の低下が始まります。
逆に、いい生活習慣を続けると、免疫力の老化を遅らせることができます。
不規則な生活習慣や栄養の偏り、ストレスを避けることで酸化ストレスを減らし、免疫力の老化を防ぎましょう。
ただし、われわれには個人差があり、健康に関しては十把一絡げの議論はなかなか困難です。
たとえば、タバコを毎日何箱も吸いながら90過ぎまでまったく元気な人もいますし、明らかな肥満でも糖尿病にもならず心臓も脳も大丈夫な人がいます。
これはどういうことかというと、ひとつには、われわれの体には大きな個人差があるからです。
人によって糖や脂肪を分解したり、吸収したりする効率が異なるからです。
生活習慣の改善で免疫力はアップする
悪いものを摂取した際の解毒、排出能力も人によって大きな差があります。
細胞、組織の傷つきやすさ、炎症の起こりやすさ、続きやすさなども同様です。
ですから、健康を語るときには常にこの個人差を考えないといけません。
個人差ができる原因には、環境要因と遺伝要因があります。
遺伝要因とは遺伝子によって影響を受ける要因のことですので、自分では変えることができず、改善のしようがありません。
環境要因とは、自分のまわりの環境、衛生状態、食生活、嗜好(飲酒や喫煙)、昏睡状態、仕事のストレスなどです。
酸化ストレスに対する耐性は、個人ごとに大きく異なりますが、ある程度コントロールが可能なものです。
特に生活習慣は、個人の努力次第では大きく改善できる部分で、ここがわれわれが免疫力を高める上で最善を尽くすべきポイントでしょう。