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子育ては理屈じゃない|子育て中のママへのエール

「有機的な生き方」は、毎月のDMでお送りしております。

WEB版は「有機的な生き方」をさらに深く掘り下げた拡大版。

リーフを片手に、ぜひご一読ください。

2月のテーマ
誕生から児童期までの「成長」

『パパは脳研究者』-子どもを育てる脳科学-
(池谷裕二 クレヨンハウス 2017)

 

我が家には娘と孫が同居しています。5歳の男の孫は、親の言うことを聞かないのがお勤めなので、二階(娘たちの居住スペース)からはひっきりなしに怒鳴り声が聞こえてきます。

 

私はそれほど子育て熱心な親ではなかったので、偉そうなことは言えた義理ではないのですが、彼らの張り上げる声を聞いていると、子育ては相互教育だよなあ、と笑ってしまうのです。

 

「有機的な生き方」の2月のテーマは、誕生から児童期まで。「成長」ということを少し科学的な視点から考えさせてくれる本を紹介しています。ニュースレター(紙版)では『子どもの見ている世界 -誕生から6歳までの「子育て・親育ち」-』内田伸子 春秋社2017
を選びました。

 

内田先生は発達心理学の観点から幼児期の子どもの心の発達について教えてくれました。WEB版で選んだのは今回紹介する『パパは脳研究者』の池谷裕二さんが脳科学者(生理学)、次回の『言葉をおぼえるしくみ』の今井むつみさんと針生悦子さんは、言語心理学の専門家です。

 

年齢で言えば0歳~15歳くらいまでという期間の中で、すべて幼児期を対象にした本を選んだのは、自分の孫の年代という私的な関心もあるのですが、何よりもこの時期は脳(心)が飛躍的に発達する時期であること、そういう意味で「人間化する」上で極めて大切な時期だと考えたからです。

子育ては理屈じゃない

池谷裕二さんは、東京大学薬学部教授で、大脳生理学の研究者ですが、何よりも『進化しすぎた脳』『海馬』『ココロの盲点』など、難しい科学の研究成果や考え方を、素人にわかりやすく解説する名人として有名です。ヒラキの脳科学の知識の90%は池谷さんの本から得ていると言って過言ではありません。

 

この『パパは脳研究者』ではその上、読者と同じ立ち位置まで下りてきて、ほとんどママ友同士のおしゃべりの感じで語られています。何せご自身が現在進行形で悩みつつ実践している子育てを題材にしているのですから。池谷先生は自らの生活体験を、時に研究者の脳に切り替えて、観察し、考察します。

 

子育てが理屈ではないことを日々肌で感じつつ、池谷さんの科学者の目は脳の「成長」という客観的な事実から背けることもありません。

 

子どもの反応や行為の変化に、脳の発達の証を読み取ります。そしてその繰り返しの中で、やはり「赤ちゃんの脳の成長を眺めることで、自分の脳の不思議さに気づくのです。

 

ご飯を食べる、トイレへ行く、笑顔を作る、会話する、嫉妬する-。普段何気なくやっていることが、決して当たり前のことではなく、脳回路がもたらした奇跡なのだ、と-」という感慨を持つにいたります。

 

そのような奇跡の生き証人である子どもと、共に歩み格闘する親御さんたちへ、この本は温かく心強いエールになるに違いありません。