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腸もれで危険なのはアナフィラキシー

食べたもの全てが吸収されるわけではない

小腸は栄養素の入り口です。その長さは約6メートル、腸壁はたくさんのヒダ状構造で、栄養素をむだなく吸収できるようになっています。

 

腸壁の表面は「絨毛」と呼ばれる無数の突起で覆われています。

 

この絨毛には、「微絨毛」と呼ばれるさらに細かな突起がたくさん生えています。

 

栄養素の吸収はこの表面から行われます。

 

ただし、栄養素はそこから無秩序に染み込むのではありません。

栄養素は厳密に分別されて吸収される

糖、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ミネラルなど、腸で小さく分解された栄養素には、それぞれ専用の取り入れ口「トランスポーター」があります。

 

水でさえ、専用のトランスポーターがあるのです。

 

このように栄養素の吸収は、厳密にコントロールされているのです。

 

反対に、体内で必要とされない栄養素や異物は取り込まれず、大便となって排泄されるのです。

栄養吸収のトラブルが腸もれ

この腸の精密な栄養吸収システムを破綻させるトラブルが「腸もれ(リーキーガット・シンドローム)」です。

 

小腸には、外から入ってきたたくさんの異物が詰め込まれています。

 

腸もれを起こしていると、腸管の細かな穴から未消化の栄養素や外から侵入した細菌、有害物質などが、体内へ漏れ出てしまうのです。

 

しかも、腸もれを起こしていると、腸内細菌まで体内に入り込んでしまいます。

 

2014年、順天堂大学とヤクルト中央研究所の研究グループは「人の血液中を生きた腸内細菌がめぐっている」という研究結果を公表しています。

 

糖尿病患者の50人中14人、健康な人の場合でも50人に2人の血液中から生きた腸内細菌が見つかったというのです。

 

本来腸にいるはずの腸内細菌が血液中をめぐっている。

 

腸もれを起こしていなければ、こんなことは起こるはずがないのです。

タンパク質が侵入し食物アレルギーを起こす

腸もれが直接起こすアレルギー性疾患があります。

 

食物アレルギーです。

 

アレルギーを起こす原因物質は、すべてタンパク質です。

 

免疫細胞は、アレルゲンのタンパク質に反応し、攻撃をしかけます。

 

タンパク質は肉や魚、卵、大豆だけでなく、すべての食べものに含まれます。

 

ちなみに、スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉、ダニにも含まれています。

正常な腸はタンパク質を吸収しない

タンパク質は粒子サイズが大きいので、絨毛にある専用のトランスポーターが正常に働いていれば、小腸から吸収されることはありません。

 

タンパク質を取り込むトランスポーターはないからです。

 

タンパク質は、アミノ酸という最小の成分に分解されたのちに、体内に吸収されます。

 

ところが、腸もれが起こっていると、細胞の間にあいた小さなすき間を通過できるものは、するすると通り抜けられるようになるのです。

 

食品中のタンパク質は、腸内にあるときには問題を起こしません。

 

けれども、体内に入ってくると、免疫は非自己と認識します。

 

その攻撃のさなか、多くの炎症が引き起こされます。

 

かゆみやじんましん、むくみ、赤み、湿疹などの皮膚症状や下痢や吐き気、嘔吐、気持ちの悪さなどの消化器症状が起こってくるのです。

腸もれで最も危険なのはアナフィラキシー

食物アレルギーがとくに危険なのは、アナフィラキシーを起こす可能性が高いためです。

 

アナフィラキシーとは「アレルギー反応のうち、生命にかかわる急激な全身性の反応」と定義されます。

 

皮膚炎症や消化器炎症に加えて、息切れや息苦しさ、喘鳴などの呼吸器の症状、目や鼻の症状などに加え、意識がもううろうとしてぐったりするなどの全身症状が急激に起こってくるのです。

 

さらに、血圧の低下や意識の喪失を起こして倒れてしまう場合を、アナフィラキシーショックといいます。

 

生命に危険が及んでいる状態です。

 

腸もれ(リーキーガット・シンドローム)は、こうした生命にかかわる大変な自体に発展しかねないトラブルなのです。