日本人の腸内細菌が減った理由
2019年09月16日
日本人の腸内細菌が減っている
みなさんは、腸と腸内細菌がちゃんと働いているかどうかを知る一番の手がかりはなんだと思いますか?
答えは、大便です。
大便の量が多いのは健康な証拠で、腸内細菌の数が多いことを表しています。
そもそも、大便重量の内訳は、全体の80%が水分。
10%が腸内細菌の死骸、5%が腸粘膜の残骸、5%が食べかすです。
水分を除けば、大便成分の約半分が腸内細菌の死骸で占められているわけです。
だから、大便の量が多いのは、体内で活発に腸内細菌が働いている証拠となるわけです。
ところで、みなさんは、日本人の大便が昔に比べて減っていることをご存知でしょうか。
戦前の日本人の1日の大便の量は平均400グラムもあったと推定されているようです。
これは、世界の民族と比べてもかなり上位のほう。
ところが、現在の日本人の大便は150~200グラムほどに減ってしまっています。
腸の状態がすぐれないともっと少なくなるので、100グラムを切るような人もいるでしょう。
すなわち、大便量が半減どころか、3分の1程度になってしまっているわけです。
これは、日本人の腸内細菌の数が少なくなってきていることを示しています。
いったいどうしてこんな事態になってしまったのでしょうか。
その理由は、日本人の食生活や生活スタイルが変わり「腸内細菌が好きなもの」が減って、「腸内細菌が嫌いなもの」が増えたからです。
いったいどんなものが減って、どんなものが増えてきたのか、私たちの腸内細菌を激減させてしまった要因を挙げてみます。
日本人の腸内細菌の数が減った理由
1:食物繊維の摂取量
腸内細菌の好物は食物繊維です。
昔から日本人は、穀物、野菜、海藻、きのこなどから食物繊維を摂ってきました。
たくさん食物繊維を摂って、たくさんの大便をするのが普通だったのです。
ところが、食生活の変化により、食物繊維の摂取量が激減しました。
これが日本人の腸内細菌が減った第一の原因だと考えられます。
2:肉の摂取量の増加
野菜などの食物繊維摂取が減った代わりに増えたのが肉の摂取です。
肉には繊維質が少なく、常食していると大便の量が減ってしまいます。
肉は優秀なタンパク源ですが、食べ過ぎると悪玉菌が優勢になり、腸内環境が崩れてしまいます。
3:発酵食品の摂取量の減少
発酵食品も腸内細菌の大好物です。
昔の日本の食卓には、漬物、納豆、味噌汁などの発酵食品が必ずといっていいほど載っていましたが、今では「たまに」食べる程度になってしまっています。
これも少なからず腸内細菌の減少に影響していると考えられます。
4:食品添加物の摂取量の増加
合成保存料、合成着色料、発色剤、結着補強材などの食品添加物は、腸内細菌の発育や増加に悪影響をもたらします。
特に影響が大きいのが合成保存料です。
保存料には食品を腐らせないように、細菌の増殖を抑える成分が含まれていますが、これが大量に腸内に入ることにより、善玉菌までがダメージを受けてしまうことになるのです。
5:抗生物質の使用量の増加
抗生物質には病原菌の増殖を抑える働きがあります。
しかし、抗菌剤ですので特定の病原菌だけに働くのではなく、良い菌まで殺してしまいます。
当然、腸内細菌にも悪影響がもたらされます。
6:過剰な清潔志向
高度成長期以降、清潔志向が高まって、どんどん菌に触れる機会が少なくなってきました。
最近では身の回りのものも「抗菌仕様」「抗菌グッズ」で固められるようになってきています。
現代人の腸内細菌が少なくなって、免疫力が低下してきているのは、こうした行き過ぎた清潔志向も影響していると言われています。
あなたも普段の生活を振り返ってみてください。
もし、「自分の腸内細菌もだいぶ減っているかもしれない。」と思ったなら、ぜひこれからは、腸が喜ぶものを摂り入れて、腸が嫌うものを遠ざけて、腸内細菌を増やすための生活改善をしてみてください。