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ストレスは免疫力を低下させる

自律神経が乱れると免疫力が低下する

免疫システムを支配している自律神経は、交感神経と副交感神経とからなっています。

 

交感神経は、心臓の働きを促進し、胃腸の働きを抑制して、体が外部からの刺激に対応できるようにさせます。副交感神経は逆に、胃腸の働きを促進するなど、内臓の動きを活発にさせます。それぞれがバランスよく働くことで、免疫システムを正常に機能させているのです。

 

ところが、ストレスを受けると、交感神経ばかりが活発に働く状態が続きます。副交感神経が優位なときに活発に働く樹状細胞や、T細胞、B細胞などのリンパ球は、動きが抑えられてしまいます。そこで、風邪などの感染症やガン細胞から体を守ることができなくなってしまうのです。

 

逆に、好中球などの顆粒球は交感神経が優位なときに増えます。顆粒球は細菌を攻撃して食べてしまう働きをするのですが、闘う相手がいないと、自分の体を攻撃し始めるのが困ったところです。ストレスによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気が引き起こされるのは、このためです。

 

顆粒球は、活動を終えると活性酸素を放出して死んでしまいます。樹状細胞を酸化させ、誤作動を起こす原因にもなります。

 

ストレスが強ければ強いほど感染症への抵抗力は低下してしまいますので、かぜ感染率・発症率は上昇します。

ストレスホルモンの過剰分泌も免疫力を低下させる

ストレスは内分泌系のバランスも乱します。

 

ストレスを受けると副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは、別名ストレスホルモンと呼ばれるように、ストレスにうまく適応できるように働くホルモンです。

 

しかし、コルチゾールには免疫機能を抑える働きもあります。自己免疫疾患を防ぐのに役立つ反面、胸腺を萎縮させたり、T細胞を防ぐのに役立つ反面、胸腺を萎縮させたり、T細胞を破壊したりもします。そのため、長期にわたって過剰に分泌されると、免疫機能を低下させてしまうのです。

ストレスを解消して免疫機能を元気にする

ストレスがたまっていると感じたら、免疫機能がダウンしてしまう前に、早めに対処しましょう。ゆったりリラックスして免疫低下の原因であるストレスを上手に取り除いてあげましょう。

 

一番確実なストレス解消法は、ストレスの原因となっているものを取り除くか物理的に遠ざけてしまうことですが、周囲の環境を変えることは容易ではありません。自分一人でできるストレス解消法を見つけることをおすすめします。

 

ストレスを感じたら、まず行いたいのが、休息です。心身を休ませて緊張がほぐれれば、副交感神経が活発になり、樹状細胞やT細胞、B細胞などが力を発揮しやすい環境となります。

 

自分の好きな音楽や心地よい香りなどの力を借りるいは、心身をリラックスさせる効果があることが認められています。

ストレス発散の積極的な解消法

ストレスを感じたときには、イライラした気持ちを紙に書き出してみるだけでも効果があるといわれています。お金も時間もかからず、すぎにできるので試してみてください。

 

ウォーキングのような有酸素運動やストレッチなどで体を動かすことはおすすめです。ただきついと感じるほどの運動は、逆にストレスになってしまうので要注意です。自分の体力に合った、「気持ちいい!」と感じる程度の運動量がベストです。

 

友人とおしゃべりしながら、美味しいものを食べて、お酒を飲むなどの、「おいしい!」「楽しい!」ことはストレス解消になります。

 

しかし、過度な食べすぎや飲みすぎは、逆に免疫力をダウンさせてしまう危険があります。とくにお酒の飲みすぎは肝臓の樹状細胞を酸化させるので、適量飲酒を心がけましょう。