樹状細胞は免疫システムの司令塔
2020年03月31日
免疫力のキーポイントは樹状細胞
免疫細胞のなかでも、免疫系の調整役として最も重要な役割を担っているのが、樹状細胞です。
名前のとおり木の枝のような細長い突起を出し入れしているのが特徴です。
免疫応答の司令塔としてクローズアップされるようになったのは最近のことです。
樹状細胞は、血管、リンパ管内を循環していて、皮膚、粘膜、肺、肝臓、腸など外敵と接触するような器官に多く存在し、特性や機能によっていくつかの種類があります。
平常時の樹状細胞は未熟な状態で、樹状細胞の突起も大きくありません。
抗原を取り込んでリンパ節に移動して初めて樹状の突起を大きく伸ばし、抗原提示として、また攻撃の司令塔として攻撃の指令(サイトカイン)を出します。
また、末梢組織で抗原を取り込む前の未熟な樹状細胞は、休眠状態にあるのですが、何もしていないわけではなく、異常な免疫反応を抑えるという大変重要な役割を果たしています。
樹状細胞がきちんと働かなければ、花粉症のようなアレルギー疾患、関節リウマチのような自己免疫疾患、さまざまな感染症やガン細胞から体を守ることができなくなってしまうのです。
自立神経を整え樹状細胞を育む
免疫を正常に機能させるには、樹状細胞が働きやすい環境をつくることにつきます。
つまり、自律神経がバランスよく働き、活性酸素による酸化、体の冷え、疲労がなく、必要な栄養がとれていることが大切です。
免疫システムは、自律神経に支配されています。
自律神経とは、自分の意思とは無関係に、体の機能を調整する神経で、交感神経と副交換神経からなり、それぞれがバランスを保つことで、免疫がうまく働くようになっています。
樹状細胞や強力な攻撃力をもつT細胞やB細胞などのリンパ球は、副交感神経が優位なとき、つまり心身がリラックスしたときにその力を発揮します。
しかし、現代人の生活はストレスや過労、生活習慣の乱れなどによって自律神経のバランスが乱れがちです。
そうなると、樹状細胞が働きにくくなる一方で、顆粒球はどんどん増えてしまいます。
顆粒球は、闘う相手がいなければ、自分の体を攻撃して炎症を起こさせます。ストレスで胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるのはこのためです。
また、顆粒球は、攻撃したあと活性酸素を放出して死んでしまうため、樹状細胞の酸化にもつながってしまいます。
皮膚を清潔・保温・保湿して樹状細胞を育む
皮膚は樹状細胞が大好きな場所で、表皮にもたくさんの樹状細胞がいます。
外界と接する皮膚は、有害な細菌、ウイルスなどが体内に侵入しないように水際でくい止める前衛部隊としての役割を担っています。
表皮の樹状細胞は表皮から体内を常に監視していて、ガンや出血など何か異変が起きたときに、体内の免疫細胞たちに攻撃指令を送っているという研究報告もあります。
いくら免疫細胞が優秀でも、異常そのものを察知できないと力を発揮することはできません。
つまり、皮膚の樹状細胞の監視機能をよくすることが、体全体の免疫を底上げすることにつながるのです。
皮膚の樹状細胞の監視能力を上げるには皮膚の新陳代謝をよくするスキンケアが重要になります。
皮膚に老廃物がたまっていると、樹状細胞も錆びてしまいますし、乾燥すると樹状細胞もひからびてしまうのです。
体を暖めて樹状細胞を育む
体が冷えると免疫細胞は働きにくくなります。
体温が低い人は、病気にかかりやすいといわれるのはそのためです。
冷えは血液のめぐりが悪い状態なので、体のすみずみまで栄養や酸素が行き渡らず、細胞の新陳代謝が悪くなり、免疫細胞の機能低下や老化を招きやすくなるのです。
もともと樹状細胞をはじめとする免疫細胞は温かいところで活発に働きます。
体が冷えていると、樹状細胞が血管やリンパ管を移動しにくくなります。
また、樹状細胞自体も冷えによって動きづらくなっています。
そうなると、外敵を見つけて攻撃指令を出すといった反応が遅くなり、外敵に侵入や増殖を許してしまいがちになってしまうのです。