過敏性腸症候群の85%はSIBO(シーボ)
2020年11月30日
お腹にガスが溜まる人はSIBOを疑おう!
「SIBO(シーボ)」という言葉を初めて聞いたという人も多いことでしょう。
別名を「小腸内細菌増殖症:Small Intesional Bacterial Overgrowth」といい、大腸にあるべき細菌が小腸に入り込み、そのまま小腸にとどまって爆発的に増えてしまう病気です。
もともと小腸は、大腸に比べて腸内細菌の数が少なく、1万個程度といわれています。
それがSIBOになると爆発的に増えて10倍の10万個を超えてしまいます。
さらに、健康であればさまざまな種類の菌が存在する小腸内の菌の多様性が失われて少ない種類の細菌が増えてしまいます。
増えすぎた腸内細菌によって大量のガスが発生し、ほんの少し食べただけでもお腹がパンパンにふくれてしまうのが特徴です。
最近の研究では「過敏性腸症候群」と考えられてきた人のうち、なんと84%はSIBOだった、という衝撃的な報告があります。
SIBOの症状は、下痢や便意、腹痛、おなかの張り、ガスなど、過敏性腸症候群の症状と重なっているうえ、2つの病気を併発している人も多いため、過敏性腸症候群とSIBOは、片方がもう一方の病気を誘発するトリガーとなっている可能性が考えられています。
さらに、健康と思われる人の腸を調べると、約30%がSIBOだったというデータもあります。
ガスの種類によってSIBOの症状は違う
SIBOには「下痢型」と「便秘型」という2つのタイプがあり、それぞれ病気の起こるメカニズムと症状が異なります。
水素ガスが多いと下痢型
下痢型のSIBOは、小腸内に「水素」が発生しやすいことが特徴です。
増えすぎた腸内細菌が炭水化物をエサに発酵を起こし、「水素」を発生させるため、お腹が張ったり、下痢になったりします。
さらに、水素ガスとともに生まれる短鎖脂肪酸が腸の粘膜に働きかけて、「インクレチン」というホルモンを分泌させます。
血糖値を下げるインクレチンですが、多すぎると胃腸の動きや、便秘や腹痛を悪化させ、「逆流性食道炎」の原因となることが報告されています。
メタンガスが多いと便秘型
便秘型のSIBOは、小腸や大腸内の「メタンガス」が原因です。
メタンガスは腸の動きをすばやくするのもの、逆流する方向に腸を動かすため、消化管通過時間を長くしてしまい、便秘を起こし、おなかの張りを発生させます。
SIBOの場合、検査で水素が発生しているかどうかを調べても、メタンガスを産生している古細菌(アーキア)が水素を消費するため、水素があまり検出されないことがあります。
SIBOの診断には水素ガスとメタンガス、両方の測定が必要であり、メタンガスを発生しているタイプのほうが古細菌が抗生物質に耐性を持つため再発が多いといわれています。