睡眠と免疫
2015年06月26日
眠りと免疫力の関係
ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠には、ノンレム睡眠とレム睡眠があります。
ノンレム睡眠とは「脳の眠り」といわれ、熟睡できる深い眠りです。
ノンレム睡眠のときは脳が休んでいるため、眼球は動かず、呼吸や心臓の鼓動もゆったりして血圧、体温が下がります。
寝入り端のノンレム睡眠はいちばん深い眠りの時間帯で揺り動かしても簡単には起きません。
一方、レム睡眠は、眠っていても脳は起きている状態に近く、眼球が動きます。
レムとは眼球が動くことを意味します。
呼吸や心拍数は増え、血圧や体温も上がります。
夢を見るのはレム睡眠のときです。
健康な眠りは、この2つ「ノンレム睡眠とレム睡眠」を合わせておよそ90分を「1サイクル」とし、ふつう5~6サイクルを繰り返して翌朝の起床を迎えます。
重要な睡眠の時間帯
一晩の眠りの中でもっとも大切な時間帯はいつだと思いますか?
正解は・・・、寝入り端から2サイクル(90分×1回)のおよそ3時間です。
この3時間の眠りがからだを集中的にメンテナンスする貴重な時間帯です。
その働きを解説します。
ノンレム睡眠とレム睡眠が2回繰り返されるあいだ(寝入り端から3時間)に、成長ホルモンと、免疫細胞間の情報伝達をおこなうサイトカインが血液中に多量に分泌されます。
彼らの働きは次の通りです。
●成長ホルモン/人体組織すべての再生に不可欠なタンパク質や骨の合成、その日の疲労回復、継続的な怪我(内臓の疲弊も含む)の修復など、人体機能すべてのダメージ回復に関わっています。わかりやすい部分でいえば、女性が気になるお肌の新生も成長ホルモンの働きです。
●サイトカイン/免疫力が健全に働くための調整役を果たします。同時に、脳に深い眠りを引き寄せる役割も果たしています。
私たちが入眠してからだを休めている3時間のあいだ、からだの中では様々な機能が活性し、壊れた細胞の修復や蘇生の作業を行い、必死に健康維持に取り組んでいます。
こうした作業は眠りが深いほど順調に行われます。
睡眠は長さよりも質が重要
つまり、「良い眠り」とは睡眠時間の長さより、「睡眠の質」を指しているのです。
極論ですが、寝入り端の3時間をしっかり熟睡できる人なら一日3時間の睡眠で健康を保てるのかもしれません。
一方、睡眠時間を長くとっても眠りの浅い人は不健康なサイクルを脱することができないといえるでしょう。
「睡眠は名医」という言葉があるそうです。
ぐっすり眠れる人は医者にかかる必要がないということでしょう。
「睡眠と免疫」の関係はしっかり見直すべきだと思います。
睡眠で免疫力が高まり白血球も作られる
免疫情報伝達役のサイトカインの働きは、「風邪くらい寝れば治る」といった非科学的(?)な言葉にも関係しています。
風邪をひくと、サイトカインは脳に眠くなりましょうという指令を出します。
こうして、からだをしっかり休ませているあいだに免疫力を高めて、風邪の細菌やウイルスに対抗する力を蓄え、病気を治すのです。
人が無理しようとしても眠くなり、体内の病原体を排除して回復に向かうまで、すべてサイトカインを含めた免疫細胞が相互に話し合って行っているのです。
それとは別の話で、免疫力の要となる「白血球」は人が立っている状態では作られないといいます。
白血球は背骨の骨髄の中で作られますが、骨髄が横に寝た姿勢になっていないと白血球は作られないのです。
つまり、白血球は人が休息する姿勢の中で生成されるのです。