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太るか痩せるかは腸内フローラが影響する

お腹周りが気になる女性

デブ菌とヤセ菌が体型を決めている

世の中には、太りやすい人と太りにくい人がいます。

 

なかには、同じ食べ物を同じだけ食べて、同じように活動しているというのに、いつの間にか体重に差がついてしまう場合もあります。

 

なぜ、自分は太りやすく、あの人は太らないのか!?

 

その原因のひとつに、腸内細菌の種類の違いが考えられます。

 

腸内細菌のなかでいちばん数が多いのは日和見菌です。

 

日和見菌とは、善玉菌が優勢のときには善玉側につき、悪玉菌が多いときには悪玉側に加担する菌のことです。

 

この日和見菌は、「フィルミクテス門」と「バクテロイデス門」というふたつのグループに分かれます。

 

その働きはまだはっきり解明されていないのですが、簡単にいえば、フィルミクテス門は悪玉菌に加担しやすい性質を持ち、バクテロイデス門は善玉菌について体によい働きをするとされています。

 

そして、近年の研究で、フィルミクテス門は太った人の腸内に多く存在し、バクテロイデス門はやせた人の腸内に多く存在することがわかってきたのです。

 

“テレビ的”ないい方をするなら、フィルミクテス門は「デブ菌」、バクテロイデス門は「ヤセ菌」ということになりますね。

 

すなわち、太っているかやせているかには、腸内フローラが大きく影響していたのです。

フィルミクテス門の細菌が多いと太りやすい

「少ししか食べていないのに、太ってしまう」という人は、フィルミクテス門(デブ菌)が多い腸内フローラを持っていると考えられています。

 

フィルミクテス門の菌には、糖質を代謝する遺伝子を持つものが多く、食べたものからたくさんのエネルギーを取り立てる働きを持っています。

 

このタイプの菌が多いと、少しの食べ物から大量のエネルギーが作られて、使われずに余ったエネルギーは脂肪に変えられて蓄積していくことになります。

 

つまり、少ししか食べていないのに太ってしまうことになるわけです。

バクテロイデス門の細菌が多いと太りにくい

一方、「たくさん食べても、そんなに太らない」という人は、バクテロイデス門(ヤセ菌)が多い腸内フローラを持っていると考えられます。

 

バクテロイデス門は、フィルミクテス門のように強くエネルギーを取り立てようとはしません。

 

ある意味、アバウトで、栄養吸収の効率が悪いのです。

そして、このタイプの菌が多いと、たくさん食べても少ししかエネルギーにならず、脂肪に変換される余剰エネルギーも少ないということになります。

 

つまり、たくさん食べているのにそんなに太らないわけです。

デブ菌とヤセ菌のバランスは食べ物で変化する

もし、飢餓に苦しんだ時代であれば、少しの食べ物からたくさんのエネルギーをつくるフィルミクテス門(デブ菌)を腸内に持っているほうが有利に働いたでしょう。

 

しかし、食べ物が豊富にあり、いつでも食べられるようになった現代においては、その機能が裏目に働いて、脂肪蓄積・肥満に結びついてしまっているということになります。

 

なお、フィルミクテス門(デブ菌)が多いか、バクテロイデス門(ヤセ菌)が多いかは、その人の食事内容によって大きく左右されます。

太りたくないなら食物繊維を摂ろう

炭水化物や甘いもの、肉料理、揚げ物など、高カロリーで食物繊維の少ないものを食べていると、フィルミクテス門が多くなってきます。

 

反対に、野菜や果物などを中心として低カロリーで食物繊維の多いものを食べていると、バクテロイデス門が多くなってくるのです。

ヤセ菌が作り出す短鎖脂肪酸がカギ

どうしてバクテロイデス門の菌が多いと腸内フローラが健康に保たれるのか。

 

それにはバクテロイデス門の細菌群がつくり出す短鎖脂肪酸という物質が腸内フローラの健康に役立っているからです。

 

バクテロイデス門のヤセ菌は、野菜や果物などに含まれる食物繊維やオリゴ糖を腸内で発酵させて、短鎖脂肪酸を生成しています。

 

この短鎖脂肪酸は、腸が活発に活動するためのエネルギー源となる物質です。

 

このエネルギー源が増えてくると、腸は消化吸収を高めたり、腸管の上皮細胞を増やしたり、粘液分泌を高めたりするようになります。

 

また、短鎖脂肪酸には、大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促す働きもあります。

 

これにより腸の動きが活発になると、腸内細菌がエサを得やすくなり、免疫機能が高まって、腸内環境がぐんぐんよくなっていくのです。

 

こうした働きにより、腸内フローラが健やかに保たれるわけです。

 

さらに、短鎖脂肪酸は全身のエネルギー・コントロールにおいても重要な役割を果たしています。

 

短鎖脂肪酸が腸から吸収されて血液中に入ると、脂肪の細胞への取り込みを抑制したり、筋肉に作用して脂肪の消費を促進したりといった働きをすることがわかってきています。

 

つまり、脂肪蓄積を防ぎ、肥満を防ぐために、短鎖脂肪酸が欠かせない働きをしていたというわけです。

 

以上が、バクテロイデス門の菌が多いと太りにくい理由です。

 

バクテロイデス門の腸内細菌をたくさん持っていると、短鎖脂肪酸がたくさんつくられ、腸内フローラ全体が活発になって、太りにくくやせやすい体質へとシフトしていくわけです。

デブ菌を減らしてヤセ菌を増やす方法

「デブ菌を減らして、ヤセ菌を増やさなくては。」と思っている方が多いことでしょう。

 

では、いったいどうすれば、デブ菌(フィルミクテス門)を減らして、ヤセ菌(バクテロイデス門)を増やすことができるのか。

 

その答えは簡単です。

 

フィルミクテス門が好む食べ物を減らして、バクテロイデス門には大好物を与えていくようにすればよいのです。

 

すなわち、炭水化物や甘いものなどを減らして、食物繊維たっぷりの食事を摂るようにしていけばいいわけです。

 

要は、「腸がよろこぶ食事」をしていればいいということです。

 

そうすれば、おのずと腸内フローラが変化して、太りにくくやせやすい方向へと体がシフトしていくものなのです。

 

やせるも太るも毎日の食生活しだいです。

 

やせてスリムになりたいのなら、日々ヤセ菌たちが勢いづくよういな食事をしていけばいいのです。