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掃除・片付けが苦手な僕がお勧めする本

目指せ!片付けの権威

私ヒラキは、何が苦手と言って、お掃除お片付けほど苦手なものがないのです。片付けができないことが離婚の原因になったという説も。今回は意を決して、”お掃除お片付け”と真っ向勝負いたします。

 

世界で300万部売れたという近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」を初め、世にある「整理本」「お片付け本」を片っ端からバシバシ読み倒して、お片付けの権威になってやろうじゃないか、という野心的な試みです。

近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」

近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」は、2011年に出版されるやベストセラーのランキングTOPに躍り出て、さらに各国語に翻訳され、世界で300万部を売り上げました。

 

著書の近藤麻理恵さんはアメリカ「TIME」誌の選ぶ”世界で最も影響力のある100人”に選ばれてしまいました。TVCMにも出演しましたからみなさんの中にも近藤さんの姿を観た方がいらっしゃるでしょう。

 

この記事のために、大きな本屋さんを訪ねると、ありますね片づけ関連の本が。「こぎれい、こざっぱり」「ぼくたちに、もうモノは必要ない」「新片づけ術 断捨離」「整える 調える。料理、掃除、片づけも少しづつ」・・・数百冊の本が大型ムック本から新書、文庫まで所狭しと並んでいます。

 

そんな中、発売から10年も経つ「人生がときめく片づけの魔法」はいまだ本棚の特等席を占めています。どこが違うのか知りたくなります。某書店で整理本コーナーを約2時間に渡って立ち読みした(買えよ!)結果、近藤さんの本が支持される理由が少しだけわかりました。

指導上手な近藤麻理恵さん

お片づけ苦手の私のような人間には、まずお片づけはやらなければいけない義務として意識されています。

 

やらなければいけないけど、どこから手をつけていいかわからない、時間ができたらやろうと思っているうちに、混乱度合いは大きくなり、結局全体的な整理は断念して、目につくところや、生活スペースの中で絶えずモノを動かさなければならないところだけを、使えるようにしてお茶をにごしてしまいます。そうやってモノの生活スペースの侵食を前線で食い止めながら暮らす日々です。

 

一方、片づけ本はほぼ例外なく「片づけの必要性・価値・人生への影響」を説くことから始めています。

 

私のような”片づけは義務”と思っている人間によって、その説教は、義務を果たせない負い目に塩を塗り込まれるようなもので、ちょうどTVを観ている小学生が、そろそろ宿題をやらないとまずいなぁ、と思っているところに、まさにそのタイミングでお母さんから「あなたいつまでTV観てるの!宿題は終わったの!」とそれだけは言ってくれるな、という言葉を浴びせられて”うるさいな、くそばば”と怒鳴るときの気分に近いかと思います。

 

近藤麻理恵さんの賢いところは、そういう私のような人間の気持ちがちゃんと分かっていて、はなから意味だの意義だのは語りません。

 

「お片づけはやると決めたら、あとは私についてきて、私のいう順番でやっていったら必ずゴールへ行きつくよ」と励まし、順番・やり方・決断の仕方・悩んだ時の保留の仕方、をきめ細かく、きっぱりと、でも決して私が気後れしないようにコーチングしてくれるのです。

 

そう、近藤麻理恵さんは指導・コーチのやり方がとても上手なのです。

 

心が動かないモノは捨てましょう

さらに、この片づけという面倒くさい難物を、それ自体がわくわくする「エンターテイメント」に仕立てています。それが「祭りの片づけ」というコンセプトです。

 

ほとんどの片付け本では、一気に片づけをしない、「日常の片付け」の習慣を大切にする、とうい定石を語ります。しかし、近藤麻理恵さんは、一気加勢に推進する「祭り」的片づけこそまず手を付けるべきことで、そのお祭りを楽しむ方法がこれまた事細かにつづられます。

 

ここで言う「祭り」とはまず捨てること。モノの種別によって捨て方を細かく指導します。これは大変実際的です。そして、この過程で近藤さんのきめの言葉「ときめく」が登場します。

 

男でじじいの私にはあまりピンとこない言葉ですが、迷ったら自分の心に聴いてみよう、というマインドセットのこと。言い換えれば頭でモノの価値を判断しないで、心が動かなかったらご縁がなかった、と捨てることにしようという、大変思い切った行動の促しです。

 

この「ときめく」かどうかで行動を前に進める方法は、主体はモノではなく自分(のココロ)にこそあり、ときめくことができることで、はじめて自分とモノの関係が構築できる、という1960年代の実在主義的(あるいは1990年代の構築主義的)な、なかなか思い切った思想です。

 

それはさておき、私のような片づけダメ人間をして、その気にさせ、いっちょやってみるか、と思わせる筆の走りは本物です。これから衣替え、引っ越しなどをキッカケに片づけの予定がある方に大変実用的な指南書としてお勧めする一冊です。