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放置すると大事に至る症状「肩こり」

肩こりが起こりやすい日本人

身体のあらゆる症状は”立ち止まれ”という身体のサインであると思います。

 

まず立ち止まり、「からだ」からの声に耳を傾ける、その上で「からだ」に何が起きているか想像する、そして解決のための行動を考える、この順番は崩してはいけないと考えます。

 

総務省が実施している「国民生活基礎調査」(2016年)によると、からだの不調について自覚症状のあるものの第1位は女性「肩こり」、男性「腰痛」(第2位が「肩こり」)です。

 

そもそも日本人は肩こりが起こりやすい体型をしていると言われています。平均で6~7kgある重い頭部を支えるには、肩幅が狭く、上半身の骨格が華奢なのです。

 

日本人の肩は常に負担を強いられているのです。そのせいか、日本語の感情表現には「肩」を比喩に使うものが多いですね。「肩の荷が下りる」(ほっとする)、「肩で風を切る」(得意げである)、「肩を落とす」(落胆する)、「肩をすくめる」(不信や不満を表す)、「肩を持つ」(味方する)等々。

 

「肩こり」というと、私の世代では、おばあちゃんの肩を揉んでお小遣いをもらう、というようなイメージがあります。まだ病気の範疇ではなく、一生懸命生きてきた証であり、人生の結果であると感じられます。みんな「肩こり」をたずさえながら生きてきた、そして「肩こり」という言葉は”自分のからだがよく働いてくれた”と労るきっかけの言葉であったような気がします。

危険な肩こりとは

ネットで「肩こり」と検索すると、整形外科や内科や整体のページに導かれ”放置すると大事に至る症状”のように扱われていますね。確かに”危険な肩こり”=重大なからだの異変の前兆もあります。

 

1:運動した時(階段を上るなど)に肩が痛む → 狭心症の可能性があります。

2:手のしびれや麻痺を伴う → 首や肩の神経・血管が圧迫されているときの症状です。

3:首や肩を動かしていないのに痛む → 骨の異常や内蔵の病気の可能性があります。

4:徐々に症状がひどくなる → 進行性の病気(ガンなど)が考えられます。

(一般社団法人日本臨床内科医会ホームページより)

 

このような症状の場合には、整形外科等できちんとレントゲン画像を撮り、診断してもらう必要がありますね(ちなみに私の場合は「2」の症状があります。画像を撮った結果、頚椎の骨が3ヶ所潰れていて、神経が圧迫されていました。10年前に雪山で滑落した後遺症です。)

 

しかし、ほとんどの「肩こり」は、その方の仕事のスタイル(机に座ってPCと向き合う等)・生活スタイル(長時間のスマホの使用)・運動不足等の複合要因が長い時間かけて作り上げてきたものです。

 

それらの「肩こり」の原因は、そう簡単には帰ることはできないし、かと言って「肩こり」解消の治療や整体通いも、時間的、経済的に手軽ではないなと思うのです。

身体のサイン「肩こり」に感謝

「肩こり」を自分のからだの状態に気づくサインとみなしてはどうでしょうか。”そろそろ身体もお疲れさんだな”と気づいてあげる、そしてコーヒーでも飲みながら首を曲げ伸ばしするストレッチしてもいいし、一人で屋上へ行って深呼吸をしてもいいし、帰りにバス停を1つ分だけ前で降りて歩いてもいいし、サインに気づいたよ、と自分の身体に伝えてあげる、「肩こり」をそういう風に使ってみてはどうかなと思うのです。

 

私ヒラキは「肩こり」という言葉を発明して、伝えてくれた私たちのご先祖様にすごく感謝しています。そして「肩こり」に気づいたら、早々に仕事をおしまいにして、お散歩やお買い物に出かけます。難点は仕事をおしまいにする時間が年々早まり、机の上が一向に片付かないことですが。