「新型コロナウイルス」子供は罹りにくい?
2020年02月14日
新型コロナウィルスの感染拡大が中々終息しませんね
今日(2月14日)現在感染者数は世界28か国で45000人を越えました。これは同じコロナウィルスによる2002年のSARS(感染者数8098人)、2012年のMARS(同2494人)に比べても、5倍~20倍の大きな拡大です。初期対応のまずさ等が指摘されていますが、感染力も強いのではないかと推測されます。
さてその「新型コロナウィルス」、子どもは成人に比べて罹患しにくいようです。
実はSARS、MARSの流行時も子どもへの感染が大変少なかったのです。これはどうしてでしょうか。気になりますね。
疾病を引き起こすコロナウィルスは今回の新型コロナウィルスを含めて7種類分離特定されています。SARS・MARS・新型以外の4種類はすべて風邪を引き起こすウィルスで、世界中で毎年数十億人が罹患します。こちらは大人子ども関係なく誰でも罹ります。
- ①SARS・MARS・新型は子どもへの感染が極めて少ない
- ②風邪発症型コロナウィルスは誰でも罹患する
この①②から「新型コロナウィルス」予防の一つの可能性が見えてくるような気がします。それを順を追って考えてみましょう。
「自然免疫」と「獲得免疫」
SARS・MARS・新型と風邪発症型のそれぞれのコロナウィルスの大きな違いは、その潜伏期間です。SARS等は10日~14日ほどと長い潜伏期間がありますが、風邪発症は通常感染から2-3日です。この潜伏期間の長短が子どもの発症数の多少に関係しているとすれば、それはどのような理由によるのでしょうか。おそらくそれは自然免疫の力の差によると思われます。
みなさん「えっ?」と思いませんでしたか。「免疫力って大人の方が強いんじゃないか?」と思われましたよね。感染症の多くは一度罹ると免疫を獲得するから発症しない、というのが私たちの免疫に関する基本知識です(だから予防注射が成り立つ)。そのとおりです。この後天的に獲得された免疫力を「獲得免疫」と呼びます。
その一方で私たちには、感染の経験がなくても、外から入ってくる侵入者を水際で食い止める力もあります。この見知らぬ侵入者を撃退する力を「自然免疫」と言います。生まれてから児童期までの子どもは、ほとんどこれだけで身を守っているのです。
では潜伏期間の長短がなぜ「自然免疫」の効果の差を生むのでしょうか。
それは「自然免疫」が「獲得免疫」に比べて戦力がはるかに小さいからです。
「獲得免疫」は苦しい目に逢った相手を記憶し、二度目以降の侵入に対しては、すぐに察知して、侵入場所へ大量の戦力(免疫細胞)を送り込み、一気にせん滅します。
それに対して「自然免疫」は巡回パトロールをしている警備兵が、たまたま出会った侵入者を個別に撃退しているのです。だから侵入者の数が一気に増えると対応できず、身体中への拡大を許してしまいます。
潜伏期間が長いということは、侵入者の増殖力が初めは弱いということですから、「自然免疫」の弱い攻撃力でも個別撃破が可能と言う訳です。
なぜコロナウィルスは子供より成人が罹りやすいのか
ここにもコロナウィルスと「自然免疫」の関係が見えます。まず罹患者が成人の中で「高齢者」「持病のある人」が多いことが挙げられています。これは端的に「自然免疫」力が落ちている人、そして「自然免疫」が他の不具合に動員されていて、新しい侵入者に対応できないでいることを表しているようです。
さらに子どもと大人の力の差になっている要因はおそらく「ストレス」です。
子どもは心理感情が基本的にあまり複雑化しておらず、不安や恐怖もそれを長続きさせることができません(だから子供は戦場の側でも戦闘行為がなければ笑いながら楽しんで遊べるのです)。それに対して大人は、様々な感情をコントロールしようとして抑圧するので、それがストレスとなって持続してしまいます。そして「ストレス」こそ免疫を(免疫細胞を殺すことで)弱体化させる要因です。
「自然免疫」の力を上げることが(あるいは落とさないことが)コロナウィルス対策のカギだとすれば、一番有効な取組は“子どもの心”を取り戻すことかもしれませんね。だとすれば本当の意味の「働き方改革」=ストレスやハラスメントのない職場の実現は、感染症に強い国造りの礎になるかもしれません。