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赤ちゃんと大人の腸内細菌の種類は違う

腸内細菌は年齢によって変化する

赤ちゃんの腸内細菌はビフィズス菌が優勢

以前、「腸内細菌はどこから来たのか」について説明させていただきました。「腸内細菌はどこから来たのか」ページはこちら >>>

このページでは、腸内細菌は年齢によって変化することについて簡単に説明させていただきます。

 

繰り返しになりますが、出生直後の段階で増殖するのは大腸菌や腸球菌などの好気性細菌です。これらの菌が増殖するのは出生直後の腸内に酸素が多いためですが、菌の増殖とともに酸素が消費されていくと、徐々に嫌気性のビフィズス菌が現れ始めます。

 

ビフィズス菌は生後3日を過ぎたあたりから徐々に増え始め、母乳栄養児の場合、1週間後には腸内細菌の95%以上を占めるようになっていきます。同時に、大腸菌や腸球菌の数は減少して、ビフィズス菌の100分の1程度に抑えられていきます。

母乳はビフィズス菌を増やす働きがある

赤ちゃんの腸内でビフィズス菌が優勢になるもう一つの理由は、母乳にビフィズス菌の増殖をうながす物質(ビフィズス因子)が含まれているからだと考えられます。

 

事実、粉ミルクのような人工乳で育った乳児は、母乳で育った乳児よりもビフィズス菌の数がはるかに少なく、大腸菌や腸球菌の数が10倍以上多く検出されることが少なくありません。母乳で育った乳児の腸内には、善玉菌があまり繁殖しない傾向にあるのです。

 

母乳保育の是非については、育てる側の経済状況や体質(母乳が出やすいかどうかなど)もあり一概に論じることはできませんが、生物的に見た場合、母乳から栄養補給することが一番良いと言えるわけです。

加齢とともにビフィズス菌は減少する

こうしたビフィズス菌が圧倒的に優位な状況は離乳とともに終わり、徐々にバクテロイデス、ユウバクテリウム、嫌気性連鎖球菌などの日和見菌が優勢になっていきます。一時は95%以上を誇っていたビフィズス菌の占有率は20%程度となり、ビフィズス菌の種類も別のものに変わっていきます。

 

もちろん、大腸菌や腸球菌は1gあたり10万~1億に、そして、ウェルシュ菌やブドウ球菌に至っては1億以下に抑えられていますから、善玉菌=ビフィズス菌も優勢菌であることに変わりありません。健常な人の場合、善玉菌と日和見菌のバランスによって腸内フローラが構成されることになります。

 

ところが、年齢を重ねることによってビフィズス菌は減少していきます。「経年変化」といってしまえばそれまでですが、特に成年期から老年期にかけて減少が著しくなります。ウェルシュ菌や大腸菌の割合が多くなるのは中年期以降で、老年期に入るとビフィズス菌の総数を逆転するケースも出てきて、高齢者の3割近くはビフィズス菌がまったくなくなってしまう例もあります。

 

中年期以降に腸内環境を整えなければならない必然性がこうしたことからもお分かりいただけると思います。

腸内細菌は個人差がある

しかし、これは年齢による腸内フローラの変化は、様々な年代の人たちの糞便を観察することで得られた全体的・平均的な傾向と言えますが、一人一人を詳しく調べていけば、当然、個人差は出てきます。

 

つまり、60歳、70歳になってもビフィズス菌などの善玉菌が多い人がいる一方で、若いのに悪玉菌がたくさんいる人もいます。要は、その人が摂っている食事の内容や日頃のストレス、健康状態、生活環境などがそこに大きく関わっていることを意味しています。

 

若い頃は多少不摂生しても善玉菌の働きが活発であるため、ある程度はリカバリーできますが、加齢とともに善玉菌は減少していくとそうはいかなくなっていくわけです。ストレス過多の生活を続けている場合、まだ若くても食事の改善だけでは体調管理が難しいことも出てきます。