生後1年で腸内フローラは決定する
2019年06月17日
腸内フローラは1歳までに決まる
生まれたばかりの赤ちゃんは、母親から受け継いだ腸内細菌をベースにして独自の腸内フローラを築いていきます。そして、生後1年くらいまでに腸内細菌の状態が決まってしまいます。そのため、母親の腸内細菌のバランスがよければ、赤ちゃんの腸内細菌のバランスもよくなる可能性も高くなるのですが、母親の腸内環境が思い通りでなくても、子どもにそのまま伝わることもあります。母子ともに便秘体質だったり、アレルギー体質だったりするのはよくあることで、それは体質の遺伝というよりも腸内細菌によるものかもしれません。
清潔すぎると獲得できる菌が少なくなる
乳児期は、様々な種類の細菌を獲得し始める大切な時期です。ハイハイするくらいのころになると、いろいろなものを手当たり次第にペロペロとなめるようになって、どんどんいろいろな菌を体内に取り入れていくようになります。これにより赤ちゃんのお腹の中では多くの腸内細菌が勢力を拡大したり縮小したりするようになり、やがて、細菌の勢力分布がだんだん決められていき、生後1年ごろに、腸内フローラのおおまかな組成バランスが完成するわけです。そして、このときにできた腸内フローラのバランスを、その人は一生涯持ち続けていくことになるのです。
とにかく、生まれてから腸内フローラが完成するまではたった1年間しかありません。この大切な時期に、生活環境を徹底的に除菌したりして、あまり清潔にしすぎてしまうと、獲得できる菌が少ない状態で腸内環境が決定してしまいます。しかも、この腸内細菌の種類は一生涯変わらないのです。
生後1年までに多くの菌に触れさせよう
丈夫な子を育てるには、この1年間の過ごし方がカギになると考えられています。それというのも、この時期までにどれだけ多くの菌を取り入れることができたかで、免疫力の強さが決定してしまう側面があるからです。腸内細菌はたくさんの種類がいたほうが健康にとってのメリットが大きいと言われていますので、いかにたくさんの菌を体内に取り込むかといういことが大切なのです。1歳までにいろいろな人やいろいろなもの、いろいろな自然に接して、たくさんの菌を取り込んでいったほうが、多くの免疫を獲得して病気に強い子に育つ可能性が高いということです。逆に、菌と接する機会が少ないと、必要な免疫が獲得できず、病気に対する抵抗力が低い子になってしまいます。
つまり、免疫力が高いか低いか、病気になりやすいかなりにくいかといった「体質」の基本ベースは、生後1年までにどのような腸内フローラを築くことができたかで決まってくるわけです。
1歳過ぎても腸活できる
1歳で腸内細菌の環境が決まってしまうということは、その後良い菌を摂り入れて腸活してもムダ、と諦めないでください。1歳過ぎても十分に改善することはできるのです。腸内の常在菌のタイプは1歳で決定してしまいますが、食べ物や生活改善で善玉菌を活発にすることは十分可能です。つまり、腸内環境を良くするのも悪くするのもあなた次第なのです。