腸内細菌はどこから来たの?
2019年05月15日
私たちの腸内フローラは、みなさんの顔が異なるように、その構成パターンもひとりひとり異なり千差万別です。
どういう種類の腸内細菌がどれくらいの割合で棲んでいるかはひとりひとり異なっているのです。
指紋がひとりひとり異なるように、腸内フローラもひとりひとり違っているわけです。
そして、そのおおまかな組成バランスは一生涯変わることはありません。
では、今私たちの腸内に棲んでいる細菌たちは、いつどこから体内に入ったのでしょうか?
このページでは腸内フローラが築かれるまでを紹介します。
母親から受け継いだ腸内細菌
実は、みなさんの体の中に棲んでいる菌のほとんどは母親から感染したものです。
腸内細菌は、食生活や生活環境も関係しますが、最も大きな影響を与えるのは母親の腸内環境です。
というのも、赤ちゃんと母親は腸内細菌のパターンが酷似しているからです。
生まれてくる子供の健康を願うなら、母親は良好な腸内環境を維持することが大切になります。
赤ちゃんは母親のおなかの中にいる期間は完全な無菌状態で育ちます。
体内はもちろん、体の表面にもいっさい細菌は付着していません。
そして、分娩の際、母親の肛門近くの産道を通るときに膣内細菌に初接触し、この世に生まれ落ちるのです。
その後、空気を吸ったり、お母さんに抱かれて肌に接したり、母乳を飲んだりすることにより大量の菌を体内にいれるようになります。
母乳がビフィズス菌を増やす
赤ちゃんのお腹の中には大腸菌や腸球菌なども存在することになりますが、母乳やミルクを飲み始めるとともに、善玉菌の代表格であるビフィズス菌やラクトバチルス菌などが一気に増えていきます。
生後一週間くらいになると、赤ちゃんのおなかのなかはビフィズス菌で埋め尽くされるようになるのです。
そして、その菌はそのまま、ずっと腸の中で生き続けるのです。
善玉菌の代表格のビフィズス菌には腸内を酸性にする働きがありますので、ほとんどの有害な菌は死滅してしまいます。
善玉菌だらけの腸内フローラをもたらしている最高の材料は母乳で、母乳で育てられた赤ちゃんの腸内細菌は95~99%がビフィズス菌で占められています。
母乳で育った赤ちゃんが人工ミルクで育った赤ちゃんよりも病気になりにくい理由はこのあたりにあると考えられます。
赤ちゃんの初仕事は腸内フローラ作り
生き物が生きていくには、まず腸内細菌の力を獲得しなくてはなりません。
パンダの赤ちゃんは生まれてすぐ母親のウンコを食べ、コアラの赤ちゃんもすぐに母親のウンコを食べます。
それは母親のウンコから腸内細菌を取り入れて、ササやユーカリを分解・吸収する機能を獲得しているのです。
生後すぐに腸内細菌を取り入れなくてはならないのは、私たち人間も一緒です。
生を受けた私たちが真っ先に取り組まなくてはならない仕事は、腸内細菌というパートナー作り。
まずはお腹のなかのパートナーをしっかり機能させて、食べて・吸収して・出して・病原菌から身を守って、という生きていくためのベースを早い段階で固めてしまう必要があるのです。