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小学生の時に初めて経験した「夏負け」

夏が大好きだった小学生時代

小学校の5年生、6年生の2年間、私は「お受験」のため埼玉県の自宅から都心の進学教室へ通っていました。特に夏休みは書き入れ時なので、お盆の1週間を除いて、毎日電車通学していました。

 

その当時、まだクーラーは一般的ではなかったのですが、予備校の教室はちゃんとクーラーが完備されていて快適だったのです。

 

しかし、往復の山手線や私鉄は10本に1本くらいしか冷房車が来ず、わざわざ冷房車に乗るために、1時間近く駅で待っていたこともありました。

 

そんな小6の夏の終りに、急に身体がだるくなり、全く食欲がなくなる症状が出たのでした。

 

母は「夏負け」だと言って、おかゆやヨーグルトを食べさせてくれました。今なら「熱中症」と診断されたかもしれませんね。

 

食事が喉を通らなくなるという経験は初めてで、予備校への通学はしんどく、教室でもただ座っているのが精いっぱいという感じでした。

 

それまでは炎天下を一日中走り回っても平気だったのですから、今から思えば予備校の冷房の効いた快適な教室と、往復の通学時間の温度差を繰り返したことが「夏負け」の原因だったのでしょうね。

 

そしてほとんど食事が食べられない日が3日ほど続いた後、雨が降って気温が下がったとたん、嘘のように食欲が戻ったのでした

 

それまで夏が大好き少年だった私は、その年の秋は待ちに待った秋でした。夏を惜しむように鳴くツクツクボウシや、暗くなると聞こえてくる秋の虫の声に、秋の気配を感じて心なごんでいました。そして、お月見のお団子(みたらし)を心待ちにしていました。