ウイルスの基本を知ろう
2020年06月30日
細菌とウイルスの違いって?
細菌とウイルスの最大の相違点は、増殖の仕組みです。
細菌は私たちの身体の細胞と同じく、細菌自体が独立した細胞なので、自分が二つに細胞分裂することを繰り返して増殖します。
しかし、ウイルスはその身体に細胞分裂の機能を持っていません。他の生物の細胞に入り込み、細胞内のDNAを使って自分の複製を作ります。
そうやってどんどん創り出されるウイルスの複製で細胞が一杯になると、細胞が分裂してウイルスの粒子がばらまかれ、隣の細胞へ侵入して・・・、ということを繰り返して感染を拡大させていくのです。
ウイルスが引き起こすもの
ウイルスは、侵入した細胞を死に至らしめると同時に、その生物の身体全体に様々な影響を引き起こします。これらは総称してウイルス感染症と呼ばれます。
インフルエンザ、ノロウイルス等による感染性胃腸炎、天然痘、風疹、はしか、肝炎、エイズ等は代表的なウイルス感染症です。
また、ある種のウイルスは、侵入した細胞の遺伝子のプログラムを破壊し、ガン化させる働きもします。
ウイルスはどんどん変異する
インフルエンザは、毎年冬になると流行しますね。数百万人の方が毎年苦しみます。中には繰り返しインフルエンザに悩まされる方もいます。インフルエンザには免疫システムは働かないのでしょうか。
インフルエンザの基本形はA型・B型・C型の3つです。しかし、実際に流行するのはA型またはB型です。これはC型ウイルスがほとんど変化しないからです。逆に言えば、A型とB型が繰り返し流行するのは、この2つがどんどん変化し、毎年「新種ウイルス」として現れるからです。
免疫システムは、細菌やウイルスの表面のタンパク質の型を記憶して、再侵入してきた同種のウイルスを発見すると、そこに免疫細胞を一気に集めて攻撃し、発症に至る前にせん滅します。しかし、細菌やウイルスの表面のタンパク質が変異して型が違うと、この免疫システムが起動しないのです。
免疫システムがウイルスを攻撃する方法
NK細胞(自然免疫)|ウイルス退治の先兵
NK細胞(自然免疫)|ウイルス退治の先兵
体内に道のウイルスが侵入したときに、最初に反応するのは、人が生まれながらに持っている免疫細胞である「NK(ナチュラルキラー)細胞」です。NK細胞は、ウイルスに感染した体内細胞やガン化した細胞を見つけては、これを攻撃します。
しかし、NK細胞は大集団を編成することはできないので、ウイルスが急速に増殖したときには対処できなくなります。
NK細胞は、免疫システムが本格的に駆動する、主役であるT細胞が登場するまでの時間稼ぎをする役割を果たしてくれます。
細胞傷害性T細胞|ウイルス退治の主役
ウイルスに感染して破壊される細胞は、その死の間際に相手のウイルスの型を刻印した高原タンパク質を免疫システムに手渡します。
この情報に基づいてリンパ節では特定の抗原を攻撃する「細胞傷害性T細胞(以降Tc細胞)」の大量生産に入ります。このTc細胞は感染部へ赴いて、感染細胞を丸ごと破壊していきます。
このTc細胞による免疫防御反応を「細胞性免疫」と呼びます。この感染細胞破壊攻撃によって、患部は延焼を起こし、発熱が起き、リンパ節はオーバーワークで腫れあがります。これが免疫による炎症の発症です。
ウイルス退治にはさらにマクロファージもくわわりますが、基本主役はTc細胞だと考えてよいと思います。
腸内環境を整えウイルスを攻撃しましょう
免疫システムがウイルスを攻撃するというプロセスには、免疫システムのコントロールセンターである大腸の免疫細胞がかかわっています。
その意味で、ウイルス感染の可能性が高い時期には、より一層の腸内刺激が望ましいと思います。
発酵食品や乳酸菌飲料、そして食物繊維をふんだんに摂り、腸内常在菌と免疫細胞を動かしてあげてください。