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腸は第2の脳|腸には脳と同じような機能がある

腸は第2の脳

腸は脳と同じような機能を果たし、最近では「第2の脳」と呼ばれるまでになっています。

 

私たちは通常、「頭を使う」「脳を動かして」というような言い方をしますが、より正確にいうと、私たちは「頭の中にある脳」と「腸の中にある脳」の2種類の脳を体内に有していることになります。そして、「腸の中にある脳」は、特定の分野では頭脳以上に賢い働きをしていると思われます。その代表が主に食物から吸収した栄養分の分析と吸収・排泄です。

腸は有毒物質を判断できる

人命を奪ってしまうような細菌やウイルスが含まれた食品を口にするとき、脳はそれが安全か安全でないかの判断がまったくできません。食中毒を起こす菌が含まれていても「食べてもいい」というシグナルを出してしまうのです。こうして体内に食中毒を起こすような菌が侵入したとき、殺菌したり、菌を体外に出したりする働きをもっているのは腸しかありません。

 

有害な食物などが腸に入ってくると、腸は大量の液体を分泌し下痢を起こさせます。その有害度が高ければ、下痢にとどまらず嘔吐の指令も出します。人体に危険な物質を確認すると、中毒を起こさせないために拒絶反応を速やかに発揮するのです。下痢や嘔吐は生態としての優れた防御反応であり、腸がこの指令を出さなければ人間の生命を維持できない、といっても過言ではないのです。

 

腸がこのような安全に関する高度な判断ができるのは、腸の中に張り巡らされた神経細胞がまるでコンピューターのように動いているからだと想像されます。ウイルスや菌をセンサーが察知し、それに対応するための的確な指示が腸脳から発信されているのです。腸が第二の脳と呼ばれるのは、オーバーな表現とはいえないと思います。

腸脳こそ優れたコンピューター

人体でコンピューターに相当するのは「頭脳」というのが一般的な考えです。体内でコンピューターのように物事を分析し、考えるのは「頭脳」と誰もが思っています。ところが、脳には頭脳以外の「腸脳」が存在し、頭脳にも負けない、いやそれ以上に重要な役割を担っていることがわかってきました。

 

たとえば、腸内細菌がストレス状態の時にストレスホルモンであるコルチコステロン量を減らし、脳のストレスによる影響を減らしていることが明らかになっています。

頭脳と腸脳の不一致

しかし、人体という組織の中に「頭脳」と「腸脳」という2つのコンピューターがあるときは、ときに混乱を招きかねません。食欲一つとっても、コンピューターが2つあると障害が起こることがあります。

 

たとえば、心身症の患者さんが、その初期の状態のときに、偏った食べ方をすることがあります。毎食、おにぎりやカップ麺などで手軽で好きなものを食べ続ける傾向があるのです。しかし、これは頭脳が腸脳にそのような命令を出しているからであって、腸にある脳はイヤイヤ従っているだけなのです。添加物を多く含む加工食品でも同じことがいえます。賢い腸は、体に有害な食品を大量に摂取したいとは思っていません。