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アレルギー・アトピーなど乳幼児の免疫不全

乳幼児の食物アレルギー

食物アレルギーは生後半年くらいから発症しはじめ、全乳幼児のおよそ10%が罹患すると言われていますが、原因は次の2つです。

 

1:消化管が未成熟で大きな分子構造のタンパク質が腸管から体内に取り込まれてしまうこと
2:食物を異物として認識してしまう免疫反応を未だロックがかかっていないこと

 

このように、いずれのケースも身体がまだ完全に成長していないことによるものなので、その90%は6歳くらいまでには解消していきます。

 

乳幼児の食物アレルギーは、皮膚の湿疹をかゆがって掻きむしり、そこに雑菌が入る二次感染によって悪化します。

 

アレルギー反応を起こさせないためには食物を除去するしかなく、子供も親も負担が大きい除去食が必要になります。

食物アレルギーだった娘

私事ですが、私の娘も米・小麦・卵・鶏肉・牛乳・大豆等にアレルギー反応が出てしまい、食べさせるのもがなく、あわ・ひえ・きびやカンガルー肉で代用していました。

 

しかし、年齢が上がるとともに、反応が少なくなり、小学校に上がる前には卵以外は問題なく食べれるようになりました。

乳幼児のアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎はおよそ13%の乳幼児が罹患する最も多い免疫不全です。その半数以上がそのまま児童期へ持ち越し、思春期で8割が緩解します。

 

アトピー性皮膚炎は、食物アレルギーの一症状として出る場合もありますが、アレルゲンは、ハウスダスト・ダニ・猫の毛・雑草等大変幅広いのが特徴です。

 

アトピー性皮膚炎では、皮膚にアレルゲンが触れて炎症を繰り返すことで、表皮のセラミド(皮脂のしっとり層)が育たず、カサカサな状態になっています。このカサカサ皮膚は様々な雑菌が入りやすく、その雑菌がさらに二次的なアレルギー反応を起こしたり、化膿を呼び込んだりする複合炎症を生みます。

 

食物アレルギーに比べて児童期まで持ち越すのは、皮膚の成熟が消化管の成熟よりも時間がかかることと、繰り返す炎症が皮膚のセラミド層の形成を妨げるためです。

乳幼児のアレルギー体質の考え方

日本を含む先進国では、20世紀の初め頃まではアレルギー疾患患者は人口の1%以下でした。その次代にはアレルギー体質は概ね遺伝的な体質であったようです。

 

ところが、アレルギー患者の数が急増し、今世紀の半ばには2人に1人以上がアレルギー体質になる時代を迎えようとしている中で、もはや遺伝による説明は意味がないと言えます。作られた環境はほぼすべての人をアレルギー体質へと向かわせます。

 

妊娠中の方で、自分の食生活や暮らしが生まれてくる赤ちゃんにダイレクトに影響を与えることを心配される方がいます。

 

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などの免疫不全は、過度に除菌されたきれいすぎる環境に作られたアレルギー体質と、体の器官の未成熟によるものなので母体の状態とはほとんど関係ありません。