梅について
梅とはバラ科サクラ属ウメ亜属の落葉高木、その果実のことを言います。
梅の歴史・由来
原産地は中国の長江(楊子江)をはさむ中南部・奥地四川の地域とされていて、広い国土にあちこちと原生が見られるようです。
日本の宮崎、大分にも野生の状態を保つ原種があるとされていますが、日本の庭園の植栽されたものは、ほとんどが中国原産のものとされています。
中国では紀元前から、塩とともに最古の調味料とされています。
良い味加減や、調整がうまくいったときに使う単語「塩梅」は、もともとは塩辛さと酸味のある梅の味付けがうまくいったことを表しています。
日本への渡来については、中国からの説が主流ですが、朝鮮半島を経て入ったものもあるようです。
梅の効果・効能
梅は我々の健康上、非常に優れた食品であることは多くの学者や研究者によって証明されています。梅の効能は広範囲に亘っていますが、その基本をなすものはクエン酸などの有機酸です。有機酸とは、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸などのことで、特に梅のクエン酸とリンゴ酸の含有量は果物中トップクラスです。
特に、梅に多く含まれる酸味(クエン酸等)は食品の消化吸収過程で重要な役割を担っています。
クエン酸は澱粉、タンパク質、油脂の消化により生じた焦性ブドウ酸を取り込み、乳酸の生成を抑制する効果があります。乳酸は疲労素と言われ、体内に多くなると乳酸タンパクを生じるなどして、肩こり、だるさなどの症状を引き起こします。これが進行すると、動脈硬化、高血圧、脳梗塞、狭心症、それに糖尿病などを引き起こしやすくなります。
また、肝臓・腎臓の機能向上、高血圧の改善、血液と血管の浄化、車酔い・乗り物酔いの改善、アレルギーの抑制、産後の体調回復、不妊の改善、冷え性の改善、成人病の予防、頻尿の軽減、がん予防等、大変重宝されています。
梅は漢方薬の原料
梅干し
梅漬や梅干しの果肉を用いて患部に塗るなどして炎症を抑える古来からの民間療法があります。
- 頭痛時にこめかみに湿布
- 歯痛に歯根外に塗る
- 打ち身、捻挫には患部へ湿布
- 腰痛、神経痛、肩こりに湿布
- 水虫退治に薄め液塗布
烏梅
烏梅とは、梅を烏色になるまで蒸し焼きにした黒梅のことを言います。
中国最古の薬物書「神農本草経」中に記載され、燻べ梅などとも言われます。 神経痛などの各部の痛み止め、咳止め、下痢止め、健胃整腸、解毒、止血、ガンの予防などに効果があります。 水2カップあたり烏梅1つを入れ、半量ほどまで煮詰めた煎じ液を1日1杯目安に飲んだり、外用薬液として皮膚病、内部痛みに使用したりします。
梅エキス
梅の果汁を煮詰めた黒色のネバネバしたエキスです。農林水産省食品総合研究所の研究結果では、このエキスは煮詰め過程で「ムメフラール」という物質が生じ、これが血流の改善に効果があるとされています。梅汁の煮詰め過程で汁中のクエン酸と糖の一部が結合して生じる物質です。梅エキスは動脈硬化を防ぎ、抗菌作用もあります。
青梅は危険なのか?
青梅には青酸が含まれているので危険、と言われていますが…
青梅の毒性は、実ではなく核(種)にあるシアン酸(青酸)によるものですが、未熟な梅・青梅は核が柔らかいために実のほうにまでしみ出てきます。ですから、青梅は食べないようにと言われているのです。
しかし、中毒の危険は、大量の未熟な種子をかみ砕いてその酵素を併せて摂取するような特殊なケースに限られます。 幼児などが青梅の果肉をかじった程度では、ほぼ心配ないとされています。
また、梅酒の青い実や梅干しの種の中身などは、アルコールや塩分、天日干しの熱により酵素が失活し、毒性は低下しているのです。